祝儀エフェクト

昨日、副業に行った。

月に一度、本業の帰りに寄り、ちゃちゃっと数時間仕事をするだけの業務内容。

この会社、今の会社の前に勤めていた会社でフレックスタイムの勤務だった。

仕事量が少ないから、当然給料も少ないわけで…

 

・・・あれは今から数年前。

ヤツが突然言い出した。

 

「アンタさー、働く気あるの?」

 

「・・・・」

 

(何様!!)

 

この時何と応えれば良かったのか。

 

山岳崩壊後の今なら

「フレックスタイムの勤務は労働には当りませんかそうですか一応扶養範囲内ビッタリになるようにしてるんですけどねてか貴方様結婚する時おっしゃいましたよねアンタが飲む酒代だけ稼いでくれればあとはこちらで面倒みますから大丈夫ですって言いましたよね別にそれに甘える気は毛頭ございませんでしたが何なんでしょう働く気あるのって」

と、応える。間違いない。

 

だがしかしあの時のオレはゆうしゃLv.1だった。

そうびひんは、たびびとのふく、スライムからくすねたむぎわらぼうし

そんなもんだ。役に立つものなど何も持っていない。

何も言えない。

意を決して

「あるよ」

と三文字答えた。

 

ヤツは、フレックスタイムを「効率が悪い」と云う。

そうか?

時給1200円。オレ。

会社行ってその分稼いで、家帰って家事やってトメの飯をこさえる。

何か不満でも・・・?

効率が悪いって、ヤツの時給はいくらか自分で知っててそんな事が言えるのか。

ちりも積もれば山となった給料じゃねぇのか。

給料額にアヤつけるわけじゃない、

「効率が悪い」という言葉にオレは噛み付いているんだ。

 

そんなこんなで、正社員の仕事を探し面接する日々になる。

某印刷会社に行ったらば

寡婦じゃないとダメ。

と云われ、彼氏連れで面接に来た子持ちの女の人の話を延々とされ、

フロッピーディスクは扱えますか?」という意味不明な質問をされた。

作れませんが扱えます。と応えるのが精一杯で

約二時間自分の会社では、働きに来た人にこんなに良い待遇をするんですよ的な

自慢をされ、さようならとなった。

後日、その会社はご倒産なされたそうだザマー。

次に面接に行った医院。医療事務。

未経験者歓迎じゃないなら、未経験者歓迎と書かないで欲しいという、、、

まぁ、そういう事だ。

 

そんなある日トメが、

「社長(トメの愛人)の会社で働いてくれない?」と言い出した。

断れますか?

断れませんよね。

ということで、トメの愛人の会社に行くことになった、とヤツに伝えたら

「ええ!?大丈夫なの!?正社員だと時間縛られるじゃん、家事とかどうなるの

洗濯は3日に一回になるの!?」などと狼狽え始めた。

アンタ、週末以外帰ってこないじゃないのよ何でそんな文句思いつくの。

フレックスタイムで働いていれば働けと云われ

正社員で働くと云えば働くなと云われる。

こういうのを嫌がらせと云わず何と云えばいいのか。

 

・・・仕事に逃げれるというのは、本当に良い手段だと思う。

なにもかもが「仕事だから」で許される。

オレはその免罪符を手に入れた。

それになにより「仕事」をすることがオレは好きな人間なのだ。

 

トメの愛人の会社に正社員として就職したオレ。

フレックスタイムの会社に辞めたいんだけど。と伝えた所

「いやいやいやいや!ソレは困る!!

給料の計算と帳簿付けだけはどうしてもして欲しい」

と、粘られた為、じゃぁ月一で仕事しに来ます。という約束になった。

 

正直、行きたくなくて行きたくなくて行きたくなくて

行きたくなくて行きたくなくて行きたくなくて仕方なかったが、

ほどなくして「仕事だから」と家を開けれるに加えて

家事から解放される自由に心奪われ、行きたくて行きたくてしょうがなくなった。

 

そして月日は流れ現在に至っているのだけども、

昨日「そういえば、家建ててるんですよね?もう完成しました?」

と、専務が話しかけてきた。

「ハイ、もう引っ越しも済みました!」と応えると

「おめでとうございます。」と、

なんと、新築祝いをくれた!!!!

月一でしか行かないオレの為に新築祝いをくれたのだ!!

なんだかんだで気にかけてもらってはいたけれども、

従業員という括りではないようであった、かといって

取引先でもない、非常に微妙な立場のオレに、新築祝いをくれたのだ!!

今日のこの記事はこのことを書きたかったんだ。

 

新築祝いを手に入れた!! 

 

勤続5年、毎日通うトメの愛人の「会社」からは何ももらっていないのに!!!!

 

オレが就職してほどなく、トメの愛人は会長に就任、

現社長が新築祝いでビールを持ってきてくれたが

会長はただ口を出すだけだったのだ。

「あの家の間取りでは、中庭に池を作ってはいけない場所が悪い・・・・・・」

(作りません何があっても。)

建ててる最中は

「方角を見て決めろ!いいか方角というのはなぁ・・・・・・・・・」

と、方角が書いてある冊子のようなものを渡された。

「今が一番楽しいだろう、二人で間取りを考えたり何だり。・・・・・・・・」

(あれほどの地獄はありませんでした。

あれでほんとにトドメさしたようなもんです。)

「オレの家というのは、こういう間取りになっていてナァ、大工が勝手に建てたんだが、悪いことが重なった。そこでオレが、ここの廊下を塞いでここをこうしてこうしたら、悪いことがピタッとやんだんだ!どうだオレは凄いだろう!!HAHAHAHAHA!!!」

(・・・ご同居のご親族様、さぞかしご大変だったでございましょうねぇ)

などから始まり、結局は延々と自分の自慢話に花が咲く。

自分以外はすべてカスと思っているので、人の気持ちなど何も考えず

御託を並べ始める。

気持ちが沈むようなことを選んで口にする厄介な男なのだ。

「〇〇株式会社、あそこはなァ、社長の母親が亡くなった時、

オレは葬式に行ったんだ。

でもなぁ、オレの母親が死んだ時、あっちはこなかったんだ!!!!!

あれは義理を欠く人間なんだ、ろくなもんじゃない!!!」

・・・10年も前の恨みつらみを吠える。

その〇〇株式会社さんというのは、

ほぼ取引がなく…同じ地方に存在するというだけなのに、

ノコノコと社長の母の葬儀になど出向くからそういう事になる。

電報ぐらいにしておけば良かったものを…。

その〇〇株式会社は、ヤツの会社なのである。

うちの会社など足元にも及ばない大会社だが、この前M&Aされた。

 

ヤツの会社からは、社長・互助会からお祝いを貰っている。

 

ひとつ書いておきたいことがある。

オレはお祝いが欲しいのではない。

そりゃ、貰えれば嬉しいけども。

 

どこからも貰わないのなら何の気にも止めないこと。

だけども、心ある誰かは祝ってくれる。そうすると

こっちはくれたのに、こっちはくれない。と要らぬランク付けが始まる。

「ああ、この人はくれないんだな。なんて思いませんよぉ~ww」

なんて事オレは云わない。

スットレートに、「一番身近である立場の人間であるこいつ。

口ばっか達者で、礼儀だ仁義だって意気がるくせに、

いざとなると何もくれねぇんだな。」って思う。

 

 だから、祝い事は嫌いなんだ。